【法改正】金属アーク溶接等の作業に関する徹底解説|健康障害防止 屋内作業 義務 呼吸用保護具 マスク フィットテスト


溶接ヒューム(※1)が、労働者に神経障害当の健康障害を及ぼすおそれがあることが明らかになったことから、新たに特定化学物質として規制されました。
 特定化学物質障害予防規則等が改正され、新たな告示が制定されています。
(※1溶接ヒュームとは、アーク溶接の際に、白い煙のように見えるもの。金属の小さな粒子。)

改正後のポイント
    下記、①~⑥の実施が必要。(屋内作業の場合で記載)

  • 1.全体換気装置による換気等(特化則第38の21第1項)
     溶接ヒュームを減少させるため、全体換気装置による換気の実施。
    または、プッシュプル型換気装置、局所排気装置などによる換気
  • 2.溶接ヒュームの測定、その結果に基づく呼吸用保護具の使用及びフィットテストの実施等(特化則第38条の21第2項~第8項)

  • 3.掃除等の実施(特化則第38条の21第9項)
    金属アーク溶接等を行う屋内作業場の床等を、水洗等によって容易に掃除できる構造の   ものとし、水洗等粉じんの飛散しない方法で、毎日1回以上掃除しなければいけない。

  • 4.特定化学物資作業主任者の選定(特化則第27条、第28条) 特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技術講習を終了した人から、作業主任者を選定し、次の職務を行わせる。
      ●作業に従事する労働者が溶接ヒュームに汚染され、吸入しないように、作業方法を決定し、指揮すること。
      ●全体換気装置など、労働者が健康障害を受けることを予防するための装置を1か月以内の期間で点検すること。
      ●保護具の使用状況を監視すること。

  • 5.特殊健康診断の実施等(特化則第39条~第42条) 溶接ヒュームに従事する労働者に対し、健康診断を行うこと。
      ●健康診断は、6月以内ごとに1回実施
      ●健康診断の結果は、5年間の保存が必要 等々


  • 6.その他必要な措置
      ●安全衛生教育(安衛則第35条)
      ●ぼろ等の処理(特化則第12条の2)
      ●不浸透性の床の設置(特化則第21条)
      ●立入禁止措置(特化則第24条)
      ●運搬貯蔵時の容器当の使用等
      ●休憩室の設置
      ●洗浄設備の設置
      ●喫煙または飲食の禁止
      ●有効な呼吸用保護具の備え付け等

※厚生労働省 屋内作業場「金属アーク溶接当作業について健康障害防止措置が義務付け  られます」のリーフレットから抜粋
 ※屋内作業の場合と、屋外作業の場合で、内容が一部異なります。

詳しくは・・・・
厚生労働省 リーフレット
(屋内作業場)パンフレット(屋内溶接ヒューム (mhlw.go.jp) pdf

(屋外作業場)パンフレット(屋外溶接ヒューム (mhlw.go.jp) pdf

呼吸用保護具とフィットテストに関する詳細

2溶接ヒュームの測定、その結果に基づく呼吸用保護具の使用及びフィットテストの実施等 について、詳しく解説していきます。
「主に①溶接ヒュームの測定→②呼吸用保護具の選定→③フィットテストの実施という流れになります。


※厚生労働省 屋内作業場「金属アーク溶接当作業について健康障害防止措置が義務付けられます」のリーフレットから画像抜粋

①溶接ヒュームの濃度測定について

金属アーク溶接作業等を屋内作業場で継続して行う場合、溶接ヒュームの濃度測定は、2022年4月から義務化されています。

【測定が必要なケース】
 ●屋内作業にてアークが発生する場合→溶接ヒューム濃度の測定が必要。
  ※金属アーク溶接する作業、アークを用いて金属を溶断、またはガウジングする作業
   炭酸ガス、MIG/MAG、被覆アーク、TIG、プラズマアーク、ガウジング、溶断等

【測定が必要でないケース】
 ●屋外作業にてアークが発生する場合→溶接ヒューム濃度測定の対象外
  ※ただし、作業における呼吸用保護具の着用、作業主任者の選定、健康診断等は必要。

 ●燃焼ガスやレーザーを熱源とする溶接・ガウジングは対象外

 ■ポイント
 測定が必要な場合、個人ばく露測定により、空気中の溶接ヒュームの濃度を測定します。
 この測定は、第1種作業環境測定士、作業環境測定機関などの、十分な知識・経験を有
 する者により、実施しなければいけないことから、実質、環境測定機関に測定を依頼する
 こととなるケースがほとんどです。

※厚生労働省 屋内作業場「金属アーク溶接当作業について健康障害防止措置が義務付けられます」のリーフレットから画像抜粋

②呼吸用保護具の選定

溶接ヒュームの濃度測定を実施した後、マンガン濃度の最大値をもとに、下記の計算式にあてはめ、「要求防護係数」を算定します。

要求防護係数(PFr)=マンガン濃度の最大値 /0.05
 ※0.05は、マンガン管理濃度

 この要求防護係数(PFr)を上回る「指定防護係数」を有する呼吸用保護具を選定して使用します。
 ※指定防護係数とは、呼吸用保護具ごとに与えられている数値

   呼吸用保護具の指定防護係数一覧
※厚生労働省 屋内作業場「金属アーク溶接当作業について健康障害防止措置が義務付けられます」のリーフレットから画像抜粋 上記表の
 RL3、RS3、RL2、RS2、RL1、RS1は、取替え式防塵マスクの国家検定区分
 DL3、DS3、DL2、DS2、DL1、DS1は、使い捨て防塵マスクの国家検定区分
 S級、A級およびB級は、電動ファン付き呼吸用保護具の国家検定 漏れ率の性能区分
 PS3、PL3、PS2、PL2、PS1、PL1は、電動ファン付き呼吸用保護具の国家検定 ろ過材の性能区分

 例えば・・・・・
 マンガン濃度の最大値が、0.5だとした場合、

要求防護係数は、10
計算は、0.5/0.05=10

上記の指定防護係数の一覧から、指定防護係数10以上の呼吸用保護具を選択してください。

指定防護係数:4 での対応保護具

防塵マスク
   重松製作所 防塵・防毒マスク TW01SC    


フィットチェッカー一体型
・使用可能フィルター:T2、X1
・面体の質量90g以下
・肌に優しいシリコンゴム製
・金属部品を使用していません
※左の画像は、ブラック(BK)の画像です。


   くわしくはこちら   
フィルター
   重松製作所 フィルター X1 

粒子捕集効率:82.0%以上
・タールミスト、オイルミスト対応
・湿式研磨作業
・掘削、粉砕作業(土砂・岩石)


   くわしくはこちら   

指定防護係数:10 での対応保護具

防塵マスク
   重松製作所 防塵・防毒マスク TW01SC    


フィットチェッカー一体型
・使用可能フィルター:T2、X1
・面体の質量90g以下
・肌に優しいシリコンゴム製
・金属部品を使用していません
※左の画像は、ブラック(BK)の画像です。


   くわしくはこちら   

   重松製作所 防塵・防毒マスク TW02S 

コンパクト設計
・使用可能フィルター:X3、T2、X2
・金属部分を使用していません
・フィルター又は吸収缶2個付き
・前方への張り出しを抑えた作業性の良い接顔体
※写真はフィルタX2付


   くわしくはこちら   

フィルタ
   重松製作所 フィルター T2    


粒子捕集効率:96.0%以上
・フィルタ 区分PL1(PAPR)、区分RL2(防じんマスク)
・石綿作業 呼吸用保護具の区分④
・重金属含有粉塵対応
・金属ヒューム対応
・タールミスト、オイルミスト対応
・湿式研磨作業


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指定防護係数:14 での対応保護具





防塵マスク
   重松製作所 防塵・防毒マスク TW088    


作業性を考慮したデザイン
・使用可能フィルター:T4、X3、T2、X2
・超軽量 約360g
・伝声器付き
・傷つきにくいアイピース
※写真はフィルタX3付


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フィルタ
   重松製作所 フィルター T2 

コンパクト設計
・使用可能フィルター:X3、T2、X2
・金属部分を使用していません
・フィルター又は吸収缶2個付き
・前方への張り出しを抑えた作業性の良い接顔体
※写真はフィルタX2付


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電動ファン付き呼吸用保護具
   重松製作所 電動ファン付き呼吸用保護具 Sy28RT2    


呼吸連動型シンクロ
・国家検定 : 区分 通常風量形/PL1/B級
・公称稼働時間:10.5時間
・使用可能フィルター:T2
・重金属含有粉じん
・溶接・溶断溶解作業(アーク溶接含む)
・土砂・岩石(掘削・粉砕作業等)
・サンダー作業
・グラインダー作業
・農薬散布作業(水和剤・粉剤)


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フィルタ
   重松製作所 フィルター T2 

コンパクト設計
・使用可能フィルター:X3、T2、X2
・金属部分を使用していません
・フィルター又は吸収缶2個付き
・前方への張り出しを抑えた作業性の良い接顔体
※写真はフィルタX2付


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指定防護係数:50 での対応保護具

電動ファン付き呼吸用保護具
   重松製作所 電動ファン付き呼吸用保護具 Sy11V3    


呼吸連動型シンクロ
・国家検定 : 区分 大風量形/PL3/S級
・公称稼働時間:6.5時間
・使用可能フィルター:V3
・リフラクトリーセラミックファイバー(RCF)等を用いた特殊な作業等の管理
・ナノマテリアルの製造・取扱い作業(ばく露が予想されるレベル)
・インジウム化合物対策(30?/?未満)
・石綿作業(呼吸用保護具の区分1)
・ダイオキシン類対策用(レベル1)
・建築物等の解体・改修工事のがれき処理
・土壌汚染第2種特定有害物質(一部除く)
・各種粉体取扱作業


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フィルタ
   重松製作所 フィルター V3 

コンパクト設計
・フィルタ 区分PL3


   くわしくはこちら   

呼吸用保護具メーカーのリーフレット

※重松製作所 溶接作業用呼吸用保護具 リーフレット
溶接作業用呼吸用保護具 (sts-japan.com)pdf

※興研 溶接対策呼吸用保護具「白い煙から作業者の身を守る」リーフレット
2111_koken_siroikemuri _改訂_ol_6p (koken-ltd.co.jp)pdf

③フィットテストの実施

金属アーク溶接作業等を屋内作業場で継続して行う場合、年1回のフィットテストが2023年4月から義務化されます。

■ポイント
     
  • 年1回のフィットテストの実施
  • フィットテストの実施記録は、3年間保管


【測定方法は2種類】

定量的フィットテスト:測定装置を用いて、マスクの内側、外側の粉塵粒子の個数計測して、フィットしているかを確認する方法。

(メリット)
・数値化して計測が可能。
・半面形、全面形の両方に使用可能。
・通常、1人あたり約7分程の測定時間を要するが、CNC方式を採用している機器であれば、短縮定量的フィットテストが可能となり、1人あたり、約2分30秒程で計測が可能であり、作業員の計測時間短縮が可能。

 (デメリット)・測定装置のコストが高い。

定性的フィットテスト:マスクを装着し、フードをかぶり、フードの中に、サッカリン等の試験溶液を噴霧し、甘味成分を感じるかの有無で、フィット            しているかを確認する方法。
※サッカリンは、甘味を感じる試験溶液。

  (メリット)・定量的測定装置に比べ、コストが安価
 (デメリット)・1人あたり約7分と、測定時間がかかる
        ・半面形防塵マスクのみ使用可能。

【測定方法は2種類】

フィットテストは、フィットファクタで評価します。

  フィットファクタ=呼吸用保護具の外側の測定対象物質濃度/呼吸用保護具の内側の測定対象物質濃度
 例えば・・・
  呼吸用保護具の外側の粉塵の数:1000個
  呼吸用保護具の内側の粉塵の数: 10個 の場合

  フィットファクタ=1000/10=100 

 定量的フィットテストにおいて、半面形のマスクで測定を行い、測定機器にてフィットファクタ100となれば、フィットしており合格となります。

 基準は、
 

 ※厚生労働省 屋内作業場「金属アーク溶接当作業について健康障害防止措置が義務付けられます」のリーフレットから画像抜粋

(参考)
マスク内圧フィッティングテスター リーフレット
MNFT PRO(マスク内圧・フィッティングテスター) (sts-japan.com)pdf

定量的フィットテストにおいて使用するサンプリングアダプター

重松製作所
フィットテスト用サンプリングアダプター等の情報について | 株式会社 重松製作所 (sts-japan.com)

興研
フィットテスト用サンプリングアダプターを揃える|改正特化則対応! KOKEN 溶接マスクサイト│興研株式会社 (koken-ltd.co.jp)





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